人は弱いのか。それとも強いのか。

例えば、人は誰かに会いたいと思ういきものだけど、その誰かを求める気持ちがとてもとても強かったら、そして、それがあなたの過去の重要な時に、悲劇的にも叶わなかったのだったなら、あなたは会いたいという気持ちをこころの底の、そのまた底に沈めることで、自分自身にその気持ちを隠そうとしているのかもしれません。でも、大切な人に会いたいという気持ちは、忘れ去られて無力になることはないでしょう。手を変え、品を変えて、いま、また別の形であなたを苦しませているかもしれません。その力はとても強大です。

人は弱いのか、それとも強いのか。人を求める気持ちをこころの底に沈めたのは、したくてしたわけではないでしょう。あなたはそうせざるを得なかったのです。それは悲しいことだったでしょう。そして、あなたがその大切な人に会いたいという気持ちはその勢いを失っていないはずです。だから、あなたは今でも苦しんでいるのかもしれません。人は弱い。でも、苦しみと闘い続けて日々の生活をどうにかこうにか営んでいる。そのように弱さを抱えて生きている人というものは、ある意味、強いのかもしれません。その悲しみに思いを馳せてみようと思ったのなら、そして、哀しむことができたのなら、あなたはきっともう強い。