初めて精神科を受診する際の注意点

精神科はなぜ予約制にしているのか

精神科のクリニックって、ほとんどが予約制ですよね。こちらは具合が悪くて一刻も早く診てもらいたいのに。酷いところでは、2ヶ月待ちです、なんて言われることもあるかもしれません。今日は、なぜ精神科は予約制にしているのか、精神科の裏話の一部をお伝えします。これを知れば、受診を待つことにはなるが、手順を踏んで予約したほうがよさそうだ、ということをご理解いただけると思います。

予約をしないで受診すると嫌がられる

予約無しでクリニックを受診すると「直来(ちょくらい)」と呼ばれます。そして、実は嫌がられます。理由はいくつかありますが、主なものは下記の二つです。

直来が嫌がられる理由①:すでに予約を入れている他の患者さんに影響が出る

初めてお会いする患者さんの診察はどうしても時間がかかります。少なくとも30分はかけなければなりません。もしかするともっと必要かもしれません。すると、再診、初診に関わらず、予約で来院している患者さんの受診時間に間違いなく影響が出ます。これは避けなければならないことなので、治療者側は患者さんに予約を取ってもらいたいと思うのです。

直来が嫌がられる理由②:安定した治療関係が結びづらい

精神科も身体科(精神科以外の科)も原則同じなのですが、精神科のほうがより患者さんと治療者との信頼関係が必要です。それは、信頼関係が治療効果に大きく影響するからです。そして、実は直来の患者さんとは信頼関係を築きにくいと医師は感じています。みなが皆そうだとは決して思いませんが、中には、予約を入れてください、というホームページ上のアナウンスを実は知っていたが、知らなかったと言う人や、自分のほかにも患者がいるだろう、その人たちは予約を取っているだろうという想像を残念ながらできない人がいます。さらに、あくまで傾向の話ですが、このような直来の患者さんたちは、症状が良くなると、すぐに通院しなくなる傾向にあります。1回ないし2回の来院で、予約を無断でキャンセルすることが多いのです。そのようなことがあると、治療関係を結びづらいのです。

これらのことから、直来の患者さんに対して、治療のモチベーションが弱くなるのです。これは患者さんにとってどのようなデメリットがあるのか、説明します。

直来のデメリット

適当に診察される恐れがある。

次回、予約通り来るかどうか分からない患者さんに、効果が強い十分な薬は出せません。それは、副作用についても医師は責任を負うからです。

十分な時間をかけて診てもらえない。

予約患者の合間で見ることになるので、十分な時間が確保できないことがあります。

一番は患者さんご自身の利益のために

症状が良くなったあと、安定した状態が長く続くためには、実は治療関係も良好であったほうがうまくいきます。そのためには、すこし時間がかかっても、予約制というルールに則って受診の手続きを踏んだ方が、間違いなく、患者さん自身のためになります。つまり、早く効果の高い治療を受けられます。ご自身の将来の健康のために、ぜひ予約で受診されてみてください。

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